『 The Quiet of Blue 』の作品の紹介です。
その1.
MICROCOSMOS〜 あるいは脚韻における0音はいかに自然(ピュシス)をゆらせるか?
工房(アトリエ)で いつものように歌人(うたびと)が
紡いでいく言の葉の
和歌の波動が部屋を満たし その醸し出す芳香に
酔いしれながら横にある カラスの羽の自家製の
筆を1本取り出して 不思議な図形を空中に
描きながら立ち上がり 書棚の扉をそっと開け
隅にあった南国の 鳥のナチュラルヒストリーを
一冊取り出し真ん中の ページをあけてラヴェンダーの
押し花の栞(かみ)をとりだして そこに書かれた濃いブルーの
翼をもった巨大な 獣をぼんやり見つめながら
考えてみる古の まだ人類が栄えていない
その時代の大自然が 詠う野生の雄叫びに
遠くに見える勇壮な 滝の流れのメロディーが
混じりあって奏でられる 協奏曲を聴きながら
「パタン」と本を閉じた後 椅子に座りアルミ製の
マグカップのなかに入る アイスココアを一口飲み
軽く一度溜息を 吐いたあとで再び
紡いでいく南国の長歌