*音楽を聴くように、詩をお読みください  〜 作者より 〜    

『 The Quiet of Blue 』の作品の紹介です。 
   

その4.

女の素描(スケッチ)  (take 1)



ブラウンの 流れるような長い髪が
部屋の中の詩(かぜ)に触れ
「ふっ」と一度溜息を  吐いた後で口紅を
小指でそっと撫でるように  少し取ってなんとなく
そのルージュの色彩を  みつめながら横にある
シェリーグラスを手にとって  白いワインを一口飲み
椅子の上から立ち上がり   紅い紐で「さっ」と髪を
ポニーテールにまとめ上げ  下着のままでそこに置いた
濃いインディゴのジーンズを   すばやくはいて背を伸ばし
椅子に座って器用に   軽く化粧を塗りながら
口ずさんでみる長歌(ながうた)の  波動が奏でるメロディーに
耳を澄ましてもう一口   その葡萄酒の言の葉を


口に含んで思い出す   昨日貰った貝殻の
艶めかしいホワイトの  貌(かお)に記した美しい
詩(うた)の色彩(ねいろ)に秘められた   太古の記憶の断片を
そっと心に刻みながら   立ち上がって深呼吸し
恋人(かれし)の処へ遊びに行く   日曜日の早朝に
流れているブルーの空気