万葉の花

*梅雨に入っていきいきしてきた紫陽花、
  万葉の時代からあります。


万葉集より
言問わぬ木すら紫陽花諸弟らが練の村戸(むらと)に許(あざむ)かれけり
                 大伴の家持(巻四‐七七三)
この歌は、久恭京にいる家持が奈良の坂上大嬢(さかのうえおおおとめ)に贈った歌です。「諸弟」というのは二人の間を往復する使いの人の名前。
歌意は、何か行き違いがあったのか、しばらく逢えないと「許かれけり」などと大げさに訴えて「物言わない木でさえ、紫陽花の花のように色変わりするのだから、まして、生身のあなたの心はすでに私から移り遠ざかっているのであろう」といった内容です。      引用『万葉集の花』より